語学留学をする意味はあるのか
荘加 大祐(Daisuke Shoka)
では早速、「語学留学をする意味はあるのか?」を検討していきたいと思います。
なお、このエントリーはシリーズものの第2弾なので、第1弾を読んでいない方は先にこちらをどうぞ。
注意点が2つほど。
まず、便宜上、ここから先は「英語を勉強しにいく」という前提で話を進めます。内容自体はフランス語でも中国語でも転用可能だと思うので、そっちに興味がある人は適宜読み換えてくださいね。
次に、評価は主観的にしています。客観的にやろうとすると僕の体験談が使えなくなっちゃって、つまらなくなるんですよね。このエントリーの主旨は「この評価が正しいんだ」ということではなく、「僕はこう考えた」ということです。これ、そういうブログなので。
語学留学をするか検討している人は、自分で枠組みを埋めるのを忘れないでくださいね。このエントリーは、何かのヒントになれば嬉しいです。
ではでは、前置きはこれくらいにして始めていきましょう。
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私の履歴書
最初に、僕の語学留学経験を書いておきます。こんな感じ↓です。記憶が曖昧な部分もありますが、許してください。
- 時期:2002年3月〜4月(大学2年と3年の間の春休み)
- 期間:4週間
- 場所:オーストラリア、ゴールドコースト
- 学校:いわゆる英語学校。授業時間は10時〜17時で、宿題などは出ない
- 所属したクラス:中級クラス。日本人は僕1人
- かかった費用:学費、滞在費、食費、航空券など全部コミで、約50万円
感想としては、最高でした。ゴールドコーストだけに、ゴールド・エクスペリエンスでした(ゴゴゴ)。振り返って考えると、僕の人生の転機だったと思います。詳しくは後ほど。
結論
では早速、結論を見てください。枠組みを埋めてあります。
で、結論としてはこんな感じになります。
- できるだけ若いうち(大学生以下が理想)に、2ヵ月以内の短い期間で行くなら、行く意味がある
- それ以外の条件で行く場合は、道楽(大人の夏休み、とにかく行きたい、など)としての側面が強くなる
では、詳しく説明していきましょう。メチャクチャ長いので注意してください。
議論の大前提:ファッション系とストイック系
まず、ハッキリさせておくべきことが1つあります。それは、語学学校にはファッション系とストイック系の2つのタイプがあるということです。なお、両方とも僕が勝手につけた名前ですので注意してください。
ファッション系とはその名のとおり、「ファッションとしての語学留学」を売りにしている学校です。もちろん、表向きには英語能力の向上を売りにしていますが、カリキュラムの実態はそうなっていません。短めの授業のみで、自習室などはなく、宿題は出ない。放課後と週末は遊ぶことが可能です。生徒がどうなるかというと、こうなります。
右に写っているのが僕で、左にいるのがクラウディオという、「マリファナ」と「リオのカーニバルは、本当にカーニバルだ」が口癖のブラジル人です。あまりにアホだったので目線を入れておきましたが、それでも彼がアホなのは伝わると思います。おいクラウディオ、元気にしてるか?(地球の裏側へ、届け愛のメッセージ)
軽く言い訳をしておくと、二人とも髪の毛はスプレーです。たしかに僕は桜木花道が大好きですが、さすがに本当の赤髪にしていたわけではありません。この日は何かの記念日で、みんなブッ飛んだ格好をする雰囲気でした(ハロウィンみたいなものですね)。
僕の、イキろうとしてイキりきれてない感じ、伝わりますでしょうか。僕は今や「リア充に仇なす者」という二つ名を持つくらいですから、根っこがオタクなんですよね。そんな僕でも、こうなっちゃう。これがファッション系のすごいところです。
言い切りますけど、ファッション系の語学学校では、生徒は英語を真剣に勉強したりはしません。当然、英語力は伸びない。「語学留学をしている」という大義名分のもとに、海外生活を楽しむ。これがファッション系の語学学校の最大の付加価値です。
これに対するアンチテーゼとして誕生したのかは不明ですが、ファッション系の対にあるのがストイック系です。その名のとおり、ストイックに生徒の英語力向上を追求する学校です。
ストイック系の付加価値は「勉強を頑張る環境」ということに尽きるでしょう。他にやることがなければ勉強するかもしれないですし、みんなが死に物狂いで英語を勉強していれば、自分もやろうって思えますからね。
ただ、僕が通ったのはファッション系の語学学校であり、ストイック系の経験はありません。以降も、ストイック系に関する記述には推測が混じるので注意してください。
ファッション系とストイック系の見分け方
では、どうしたらファッション系とストイック系を見分けることができるのでしょう? いくつかポイントを書いておきます。
まず、最も大きいポイントは滞在する都市の気候・ビーチの有無でしょう。暖かくてビーチがあるから、「ちょっと波乗りしてから学校行くか」とか、波乗りと青海苔の違いも分からない田舎出身の小僧がワケの分からないことを考えたりするのです(僕)。寒ければ、勉強以外にやることはありません。
次に重要なのは滞在の形式でしょう。ファッション系ならホームステイ、ストイック系なら全寮制になります。そりゃあ、ひたすら勉強するのに異国のファミリーとのふれあいなんて不要ですからね。
ちなみに、僕はホームステイをしたのですが、オーストラリアなのになぜかロシア人夫婦で、簡単な英会話しかできない人たちでした。要するに、商売でホームステイをやってる人たちだったんですね。
食事つきのプランでしたが、「これがお前の夕飯だ」というメモ書きと共に、汁に入ったラーメンが冷蔵庫の中に置いてあったときには、さすがに日露戦争を始めそうになりました。他にも、牛乳は水で5倍くらいに薄めてありましたし、ホストファミリーとしてはハズレだったと言えます。僕の滞在費が高くなっているのは、途中から毎日、日本食レストランで外食していたというのも一因です。餓死しないためには、手段は選べませんでした。
ホームステイといっても、温かいふれあいが待っているとは限りません。むしろ、冷たい、伸びきったラーメンが待っている可能性がある。みなさん注意してください。
……さて、ダイナミックに脱線しましたが、話を見分け方に戻すと、あとはカリキュラムも重要なポイントだと思います。
ファッション系だと、10時〜17時の授業時間で、1コマ50分、昼休みが1時間だとすると、正味の勉強時間は1日に5時間です。これがストイック系だと、ここに自習時間が加わって、8時間くらいはやるんじゃないでしょうか。全寮制だから、夜まで勉強できますしね。
あとは、自分で調べるなり、ネットでその学校に通った人を探すなりして見分けるしかないでしょう。
終わらなくなるので、先に進みます。
枠組み①:実用スキル
では、枠組みの上から順に考えてみましょう。
語学留学では英語を勉強しにいくわけです。英語が実用スキル(金につながるスキル)であることに議論の余地はありませんが、問題は「どれくらい英語が上達するのか?」です。ここが一番ヘビーな論点なので、ガッツリ考えていきましょう。
語学留学でどれくらい英語が上達するのか
語学留学をすることで、英語能力はどれくらい向上するのでしょうか?
残念ながら、この問いに対して単純な結論は出せません。留学して英語力が上がるかどうかは、かなり多岐にわたる要因によって決まるからです。僕が認識している大きな要因は、以下のものになります。
- 留学時の年齢(若いほどベター)
- 留学期間(長いほどベター)
- 留学時の英語能力(語彙や文法に難のあるレベルでは、海外に行く意味がほとんどない)
- 学校のカリキュラム
- 本人の言語センス、外向性(おしゃべりは伸びる)
- 日本人配偶者の有無
このあたりのことが人によって完全にバラバラなので、あまりスタンスをとったことは言えないんですよね。いい加減なことを言って語学留学ビジネスをしている人に迷惑をかけたくもないですし。
というわけで、ここは控えめな結論にならざるを得ないのですが、これくらいは言っていいと思います。
語学留学では、ビジネスで使えるレベルの英語を身につけることはできない。
ちなみに、ここでの「ビジネスで使えるレベルの英語」とは、こみいった交渉やプレゼン、インタビューなどを英語で行えるレベルを言っています。エンジニアみたいに「要件だけ英語でやりとりして、あとはコードを書く」というような仕事なら話は変わると思います。実際、僕はカタコトの外国人エンジニアに仕事を発注したことがありますが、基本メールのやりとりだけなので、特に問題ありませんでした。
話を戻しましょう。語学留学ではビジネスレベルに到達できない理由として一番分かりやすいのはこれです。大学院留学をしても、ビジネスレベルの英語が身につかない人が相当な割合で存在します。具体的に書くことは控えますが、とにかく、こういう人は実在します。それも結構な数で。
知らない人のために説明すると、大学院留学って、こういうことです。
- 入学者の英語力は、語学留学の生徒よりもはるかに高い(TOEFLが必要なため)
- 留学期間は2年(1年のところもある)
- 英語「を」勉強するのではなく、英語「で」勉強する
- ファッション系のように遊んでいる暇はなく、放課後も週末も予習する
つまり、語学留学とは比較にならないレベルでハードです。ここまでやっても、英語が武器になるどころか、英語にコンプレックスを抱えたまま帰国する人が存在するのが現実です。
要するに、語学留学ではペラペラにはなりません。それは勘違いです。
というわけで、しょーもない結論で申し訳ないですが、「英語力は上がるかもしれないが、過度な期待はするな」あたりが妥当な結論かと思います。まあ、「TOEICを200点上げる」とか、「英語学習のきっかけを身につける」とか、そういうレベルの期待に留めておくのが無難でしょう。
なお、これはファッション系でもストイック系でも変わらないと思います。ストイック系のほうが期待できることは間違いないでしょうが、過度な期待をするべきではありません。「英語ができるようになる」というのは、そんなに簡単な話ではないのです。
ちなみに、僕は語学留学前に「あれ、俺、まさか、帰国するころにはペラペラになっちゃうってこと?」って、割とマジメに思ってました。若さって素晴らしい。
実際はどうだったかというと、ちょっとマシになった気がしたが、帰国して1ヵ月もすると元に戻ったというのが、最も適切な表現かと思います。まあファッション系ですし、期間も短かったので、当然と言えば当然ですね。
長期間やったらどうか
ちなみに、半年とか、それ以上の期間でちゃんとした学校に語学留学するなら、ビジネスレベルに到達する可能性もゼロではないかもしれません。
ただ、その方法は2つの問題を抱えています。①正規の留学に対する優位性がない、②英語「の」勉強は日本でもっと安くできる、という問題です。
1つめに、長期の語学留学は、正規の留学に対してメリットの点で劣ります。簡単に説明しましょう。
まず、正規の留学では英語「で」勉強ができます。語学学校は英語「の」勉強ですから、この違いは大きい。正規留学では、英語以外の実用スキルや、教養が身につきます。
また、正規の留学ならシグナル効果や人脈も期待できます。後述しますが、語学留学にはシグナル効果も人脈も期待できません。
もちろん、正規の留学は語学留学のように簡単にはできません(入るための労力コストが大きい)。しかし、それこそがシグナル効果の源泉です。最初から避ける理由はありません。また、金銭的コストでは語学留学に優位性がありますが、これはメリットの差を埋めるほどではありません。
2つめに、こちらが決定打ですが、英語「の」勉強は日本でできます。参考書を買って、会話はSkype英会話でやればいいのです。
もちろん、これが簡単にできない人が多いからこそ、ストイック系に需要があるのは僕も分かっています。しかし、「一人では勉強できないので、勉強させてくれる環境を買う」というのは、そもそも動機づけに問題がある可能性が高く、そんな状態で長期間勉強したところで結果は出ないでしょう。一人でも勉強できる動機の源泉や方法を模索するべきで、長期間留学することが正解だとは僕には思えません。
結論として、「英語力向上」というメリットのために長期の語学留学をすることは合理性がないと僕は考えます。
長期の語学留学がありえるのは、ワーキングホリデーや、「日本で働くのに少し疲れたので、海外に長期滞在する体のいい言い訳がほしい」といった、実用スキルとしての英語とは別のメリットを求める場合だけでしょう。
枠組み②-③:教養とシグナル効果
先に進みましょう。ここからはあまり議論の余地がありません。
語学留学では、教養は身につきません。学ぶのは英語で、これは明らかに実用スキルだからです。「海外で生活した経験」はどうなんだと思う人もいるかもしれませんが、ここでの「教養」とは学校で明示的に学ぶ内容を意味しているので、カウントしません。よって、評価はバツ。
語学留学には、シグナル効果はありません。語学学校はお金を払えば誰でも入れるからです。選抜がある語学学校もあるかもしれませんが、どっちにしろ、誰もが名前を知っている語学学校は1つもないので、語学学校がシグナル効果を発揮することはありません。バツ。
次に人脈ですが、ここは面白いので丁寧に説明します。
枠組み④:語学学校の人脈
前回のエントリーで、学校の人脈には2種類あると言いました。同級生との人脈(友情・恋愛)と、同窓生との人脈(コネ)です。
まず、コネは全く期待できません。同じ学校の卒業生の数が少なすぎます。また、語学学校はお金さえ払えば誰でも入れる関係で、集まる人間のバックグラウンドが多様になります。大学のように、卒業生が同じ社会階層に固まりません。
しかし、同級生との人脈、特に恋愛関係にはチャンスがあると言っていいでしょう。
理由はシンプルです。そりゃあ、海の向こうで、男と女が毎日のように顔を突き合わせてたら、何か起こる。
残念ながら僕には何も起こりませんでしたけど、僕の同級生には、あっちで付き合い始めて、帰国後そのまま結婚したカップルがいました。すごい。
ただ、このメリットを狙って語学留学すべきかと言うと、それはオススメできないというのが僕の意見です。まあ、このメリットを狙って語学留学をする人はいないと思いますが(笑)、経験者として詳しく説明できるのでやっちゃいます。
語学学校の人間関係
語学学校の人間関係は、非常にベットリしてます。なんでかっていうと、語学学校では、少人数の合宿がずっと続くような状態になるんですよ。
まず、勉強するのはずっと英語ですから、大学みたいに授業によってメンバーが変わったりはしません。朝から晩まで、同じメンバーで勉強です。
授業が終わった後は、日本人でつるむことになります。語学留学をするようなレベルでは、英語で満足にコミュニケーションをとれる人間は1人もいませんから、やっぱり授業の後は日本語で話したくなるんですね。これを嫌がって突っ張るタイプの人もいるんですが、英語ができないのは変わりませんから、1人で日本語の本を読んでたりします。
僕はどうだったかというと、普通に日本人とつるんでました。授業では日本人は僕1人でしたが、初級クラスはほぼ全員が日本人でしたので。初級クラスの人は、朝から寝るまで、同じ日本人とつるんでたわけです。
週末はどうするか? 基本的には、同じ日本人とつるみます。僕はクラウディオ(先ほどの写真の、ルームメイトのブラジル人)と食事に行ったこともありますが、当時はカタコトの意思疎通も怪しいレベルでしたから、2時間もすると限界が来るんですよね。半日以上遊ぶとなると、日本人しか選択肢はありません。クラウディオもブラジル人で固まってましたから、そういうものだと思います。
こんな感じで、ホントにもう、ずっと同じメンバーです。あとは、誰かが帰国していく度に送別会、誰かが入学してくる度に歓迎会って感じです。
そんなわけで、語学学校って、すごく濃密な人間関係がそこにあります。
問題はここからで、この人間関係の中にいるのがまったくバラバラの人間なんですよ。大学とかと違って、似たもの同士じゃないわけです。年齢も経歴も、本当にバラバラです。そのバラバラの人間が、「海外とか英語が好きで、同じ場所に来ちゃった日本人」という理由だけで、つるむことになる。もう少し穿った言い方をすると、他に選択肢がないからつるむことになる。
だから、この人間関係が素敵なものになるかはギャンブルになります。飛び込んだ人間関係の中に本当に馬が合う人がいれば、一生の友達ができたり、それこそ結婚することもあるかもしれない。でも、逆に転ぶケースも十分にありえます。相性が悪すぎてコミュニティに溶け込めなければ、1人でストイックに過ごすしかなくなることもあるでしょう。
あとは、若すぎたり、流されやすい性格だと、変な人の悪い影響を受けてしまう可能性もないとは言えません。この辺は注意が必要です。
なお、これはSNSがない時代の体験談に基づいているので、今ならもう少しやりようがあるのかもしれません。Twitterで隣の学校にいる日本人を見つけるとか、できるかもしれないですね。
まだ先があるので、そろそろまとめましょう。要するに、語学学校の人間関係にはチャンスがあるが、それはあくまでギャンブルだということです。ここに期待して語学留学をするべきではありません。
また、この点でも、長期の語学留学はリスクです。人間関係ギャンブルに勝てれば居心地がいいかもしれませんが、負けた場合、長期でそこにいるのは辛いでしょう。「1人で、人とあまり日本語で話さずに、ストイックに勉強できそうな期間」を念頭に、留学期間を設計するといいと思います。まあ、そこまで心配することではないと思いますが。
枠組み⑤:その他
とりあえず、ここまでの議論をまとめておきましょう。
- 英語力の向上には、過度な期待はできない
- 教養は学べない
- シグナル効果はゼロ
- 人脈にはチャンスがあるが、ギャンブル
これでは、語学留学を「行く意味がある」とする要素はほとんど見当たりません。でも、僕は冒頭に書いたとおり語学留学を最高の経験だと思っています。
なぜか?
それは、「その他」に大きなメリットがあるからです。
語学留学(特にファッション系)の真のメリット
そのメリットとは、「経験」です。語学留学って、すごく素敵な経験なんですよ。
これは「勉強せずに遊んだ思い出が最高だ」という話ではありません。たしかに僕は勉強そっちのけで遊んでたんですけど、そこじゃないんですよ。
日本にしか住んだことのない人間が、外国に住む。
もうこれだけで、最高なんですよ。狭かった世界がグワーッと広がって、「もっと色んな場所に行ってみたい」、「世界中の人とコミュニケーションしてみたい」と思うようになるんです。
実際、僕はこの語学留学の後、学生のうちだけで2回も海外旅行に行きました(この語学留学が初の海外)。
大学院留学のための英語の勉強を頑張れたのも、この経験があったからです。この語学留学で僕の英語力は上がりませんでしたが、「もっと英語力があれば、あれもこれもできた」という思いは残りました。それが勉強を頑張る原動力になりましたね。
つまり、「世界は広くて、英語ができるとそれを100倍楽しめる」ということが、語学留学で分かったんです。この経験だけで、払ったすべてのコストを十分に上回るメリットがあったと感じています。
もちろん、嫌な思いをして、こんなふうに思わない人もいるでしょう。でも、それはそれでいいと思うんですよ。語学留学をしちゃうくらいだから、海外に対するすごい憧れがあるわけでしょう。実際に行ってみて「あ、やっぱこういうのは別にいらないわ」と分かれば、残りの人生で他のことに集中できますよね。
このメリットは、ストイック系よりファッション系に優位性があると思います。ストイック系は、このメリットを減らすかわりに英語力向上のメリットが高まるイメージではないでしょうか。何でもトレードオフですね。
ただ、このメリットは、なるべく若いうちに手に入れるべきだと思います。語学留学の先を見据えるなら、遅くとも大学卒業までにやってしまうべきでしょう。実際、金持ちの子供とかは中学生とか高校生で語学留学してますしね。そうじゃない大学生は、僕みたいに1年間のバイト代をすべて突っ込んででも、やる価値はあると思います。大学1年でお金貯めて、大学2年の夏休みに決行とか、いいんじゃないでしょうか。
もちろん、英語力に自信があるなら、最初から半年くらいの単位交換留学を狙うほうがオススメです。ただ、このオプションは単位取得や就職活動/大学院進学のことを考えると、結構難しいんですよね(大学によって事情が違うかも)。まあ、ちゃんとしたところに単位交換留学できるなら、1年留年するくらいのコストは十分ペイすると思いますけど。
コスト
最後にコストですが、こちらは特筆すべきことはないです。入るのに必要な労力はほぼゼロですし、入ったらフルタイムコミットです。海外に移住するわけですから、当たり前ですね。
金銭的コストは、国や学校によってバラつきが大きすぎるので、何とも言えません。為替レートも変わりますし。ざっと調べた感じでは、学費・滞在費・食費・飛行機代の合計が、1ヵ月25万〜40万円くらいのイメージです。ここに、遊びの代金が加わりますね。僕は滞在中にスカイダイビングとスキューバダイビングをやりましたし、サーフボードも購入したので(帰国後に置物化)、50万円の大台に乗りました。
コストは多めに見積もっておくことをオススメします。思わぬところで金がかかるものですし、渡航先で仲良くなった友達と近隣諸国に旅行へ行こうにも、金がないと無理ですから。ここはケチるところではないと思います。
判断
最終的な判断は、ここまで述べてきたメリットが、先ほどのコストに見合うか? という視点で行うことになります。いくつか示唆を出しておきます。
まず、長期の語学留学は、コストパフォーマンスでは合理化できません。既に述べたように、メリットで圧倒的に上回る正規留学というルートがある上に、英語の勉強は日本でできるからです。長期でやる場合は、大人の夏休みか、理屈を超えた意思決定という位置づけになるでしょう。
ではどれくらいが限度だ? という問いが出てきますが、個人的にはマックスで2ヵ月だと思います。生活に慣れるのに2週間、そこからそれなりに勉強しつつ楽しむのが1ヵ月で、6週間くらいがベストじゃないでしょうか。僕は4週間の滞在で、「あと1週間くらいは滞在したかったな。でも、2ヵ月は明らかに長すぎる」と思ったことを覚えています。ただ、ここは個人差もあると思うので、幅を持たせてマックスで2ヵ月としておきました。
次に、語学留学のコストパフォーマンスは若いほど大きくなります。
まずメリットですが、若い内のほうが英語力が伸びやすい上に、この体験をきっかけに変化を起こす人生の残り時間も長いです。
コストも、若いほうが圧倒的に小さい。特に違うのは機会費用で、たとえば大学生の夏休みなんてロクな過ごし方しないわけですから(偏見)、機会費用はほぼゼロです。これが社会人だと、その期間の収入を丸々失うことになる。この差は大きい。基本は、学生のうちに行くべきだという話になると思います。
以上になります。思い出を振り返りながら書いていたら、とんでもなく長くなってしまいました。すいません。
次回は、同じ枠組みを使って大学受験を検討したいと思います。