ゲームを使った英語勉強法
荘加 大祐(Daisuke Shoka)
ではでは、今回はゲームを使ったコンテンツ学習を説明しましょう。まだ読んでいない人は、以下のリンクを先に読んでくださいね。
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ゲームで英語を勉強するとは
まずは漫画のときと同じように、英語でゲームをするというのはどんな感じか確認してください(軽いネタバレ注意)。
これは『逆転裁判(英語名:Phoenix Wright)』というゲームです。シンプルに、最高ですよ。もちろん、自分でプレイするときは、セリフは自分のペースで進められます。
コンテンツ教材としてゲームを考える場合、ジャンルとして対象になるのはアドベンチャーかRPGです。僕はやったことないですけど、シミュレーションもギリギリセーフかもしれません。アクションやパズルなんかはダメですね。ほとんど言葉が出てこないので、英語学習としては役に立ちません。
コンテンツ教材としてのゲーム
では次に、コンテンツ教材としてのゲームの特徴を説明しましょう。
僕の意見では、ゲームはコンテンツ教材として、かなり癖があります。ハマると爆発的な学習時間と学習効果を期待できますが、失敗する確率も高いと言えるでしょう。
まず、繰り返せません。1つのゲームをクリアするのには数十時間かかること(ジャンルにもよりますが)、同じゲームを5周も6周もやる人はまずいないことを考えると、繰り返しによる語彙力の増加は狙えません。期待できる学習効果は、英語細胞の育成のみだと思ったほうがいいでしょう。
ただし、メニューや戦闘コマンドのように、ゲーム中で何回も見る画面に出てくる単語に関しては、繰り返し効果が狙えます。こういう単語は、先に調べちゃうのがオススメです。
次に、時間効率も良いとは言えません。これはRPGで考えると分かりやすいですが、レベル上げのための戦闘をしている間、新しい英語は出てきません。このように、ストーリーが進んでいるわけではない局面では、ゲームは英語学習とは呼べなくなります。あくまで、「ゲームが好きで、ついでに英語でゲームをやっている」というスタンスで取り組むべきでしょう。
あとは、高い英語力が必要になります。そうじゃないと、ゲームを楽しめないんですよね。ひどい場合はストーリーが追えずに、ゲームが詰んでしまうこともありえます。ざっくりしたイメージですが、洋書の小説を1冊読み切れるくらいの英語力は必要なんじゃないでしょうか。
ちなみに、さっき紹介した『逆転裁判』は、英語力的な視点で言うと例外的に簡単なゲームです。普通のゲームだと、こんな感じになります。
これはきついですよね……。僕は全然分かりませんでした。無理すぎる。僕のように聞き取れなかった人は、画面右下の「設定(歯車マーク)」から英語字幕が出せますので、どれくらい聞き取れたか確認してみてください。
ゲーム内の固有名詞が音声になると、一気にきつくなりますね。一応、FF12は日本語でクリアしてるはずなんですけど。FF12でこれだと、パルスのファルシのルシがパージでコクーンするゲームを英語でやるのは、本当に厳しそうです。
というわけで、ゲームでコンテンツ学習をするのには色々と問題点があるわけですが、上手くゲームを選んでこのあたりの問題をクリアできるなら、メリットもあります。
まず、圧倒的に時間が稼げます。僕が試した中では、コンテンツ教材の中でゲームがぶっちぎりのNo.1ですね。普通に10時間くらいやれちゃいますので。
つまり、たとえ時間効率が悪いとしても、圧倒的な時間量によって学習効果をあげればいいわけです。
ゲームって、やる人はかなりやるじゃないですか。1日2時間やるとすると、年間で約700時間ですからね。3年で2,000時間くらいになるわけです。これくらいの時間で英語に触れるのはとてつもないインパクトがあるので、思い切って「今後は英語のゲームしかやらない」って決めるのもいいかもしれません。
次に、英語が心に響いてきます。ゲームによってはキャラクターボイスもつきますし、BGMやSEが感情を盛り上げてくれますからね。僕も色々とコンテンツ教材を試しましたが、即座に思い出せるレベルで記憶に残っているフレーズは、ゲームのものが多いです。深いところまで刺さってくるんですよね。
まとめると、ゲームは漫画と違って、万人にオススメできるコンテンツ教材ではありません。しかし、英語力高めのゲーマーには自信を持ってオススメします。英語に自信のある大学1年や社会人なりたての人で、かつ差し迫って英語の点数が必要ないゲーマーの方は、試してみてはいかがでしょうか。ハマればこれほど楽に続けられる教材もないので、ダメ元で試してみる価値はあると思います。
具体的な勉強方法
次に、具体的な勉強方法ですが、これに関しては「普通にゲームをやる」ということで終わりだと思います。 それで楽しめないなら、まだゲームに手を出すのは早すぎたということです。普通の教材に戻るか、漫画などのもう少しとっつきやすいコンテンツ教材から始めたほうがいいでしょう。
もちろん、手元に辞書を置いておいたほうがいいです。ただ、あまり単語を調べていると興が削がれるので、勢いで進めていくのも大事だと思いますね。
作品の選び方
次に、作品の選び方を説明しましょう。
まず、ジャンルは先ほど説明したとおり、アドベンチャーかRPGにすべきです。
一番オススメなのはアドベンチャーです。基本的にテキスト読みっぱなしなので、時間効率がいいです。その点、RPGは戦闘や探索が入るので、アドベンチャーよりは時間効率が落ちます。
次に、漫画と同じで、少なくとも1作目は日本語でクリアしたゲームを選ぶべきです。安全策ですね。ただ、どっちにしてもそれなりに高い英語力がないと英語でゲームは楽しめないので、日本語でクリアしたからといって何とかなるわけではありません。
また、古い(1990年代くらいまで)ゲームのリメイクか、携帯ゲーム機向けに出たゲームは狙い目です。ゲームに使える容量が少なかったので、ストーリーや世界観がシンプルな場合が多いのです。逆に、2000年以降に据え置き機で発売されたゲームは映画以上のレベルで作り込まれているので、いきなり英語でやるにはちょっとしんどいかと思います。先ほどのFF12はいい例ですよね。
あとは、作品によっては英語版を海外サイトから輸入しなければならなかったり、ハードのリージョンコードで動かないリスクがあったりします。このあたりのことは個別の作品ごとにしっかりチェックしてから買いましょう。
別格のオススメ作品:逆転裁判
いくつか、オススメの作品を紹介しておきます。
とりあえず、まずは『逆転裁判123』で決まりです。これはもうObjectionの余地がありません。
SwitchとPS4以外のプラットフォームでも遊べるので、詳しくは以下を見てください。
CAPCOM:逆転裁判123 成歩堂セレクション 公式サイトこのゲームは、以下のような、英語ゲームのデビュー戦として圧倒的に好ましい特徴を備えています。
- アドベンチャーゲームであり、ひたすら英語を読み続けられる
- 「証言の矛盾を突いていく」というゲームの仕様上、きちんと意味がとれないと先に進めないため、英語に対して真剣になれる
- しかも、証言は繰り返し聞けるので、一度で分からない場合は何度も繰り返せる
- 現実世界をモチーフにしているので、ゲーム内における固有名詞や造語は比較的少ない
- 日本語版のソフトに英語版が含まれているので、ソフトを輸入したり、スマホの言語設定を変える手間がない
つまり、このゲームだけは例外的に、極めて学習効率が高いのです。ストーリーを理解してゲームを進められる英語力さえあれば、クリアまで頑張ることで大きく英語力を育成できるでしょう。しかも、日本語版を買うだけです。
トドメに、神ゲーです。英語とか抜きにして、やらずに死ぬのはもったいないですよ。ストーリー、キャラクター、BGM、ゲームデザイン、すべてが最高の一言です。
特に、3部作のラストに向かう盛り上がりは、もう想像を絶するレベルです。
『逆転裁判3』の最終盤で、追い詰められたPhoenix(主役の弁護士)がこう言います。
”… I can prove it.”
この後に起こるある演出は、アドベンチャーゲーム史上における”The most epic scene ever”と呼んでも過言ではないでしょう。何が起きたのかを頭で理解するより先に鳥肌が立つと思います。『逆転裁判』、『逆転裁判2』と続いてきた一連の流れがここに集約し、あとはエンディングまで駆け抜けるだけです。あれは本当にシビれましたわ。
RPGでたとえると、ドラクエ3における「ギアガの大穴を抜けるとアレフガルドであった」レベルの衝撃です。今からあの感動を体験できる人が羨ましい。
ちなみに、日本語でプレイしていない人でも、これを選べばいいです。日本語版も入っていますので。いきなり英語版からトライして、無理っぽいなら日本語版を普通のゲームとして楽しめばいいでしょう。その後で英語版に再チャレンジです。
というわけで、逆転裁判、猛烈にオススメです。というか、このコンテンツ学習の一連のエントリー、逆転裁判を紹介するために始めたようなもんなんですよね。とりあえず当初の目標が達成できて、僕としては満足です。
まあ、ここまでオススメしてもプレイしない人には、この言葉を送ります。
その他のオススメ作品
他にも、いくつか紹介しておきますね。
とりあえず、内容の手堅さ、ゲームの始めやすさという点でFFのスマホアプリはオススメできそうです。僕が英語版をプレイしたのはFF3とFF4ですが、FF4は特にオススメできます。ボイスもついてますし、内容も素晴らしいです。
FF6までなら、以下のリンクから英語版を入手できます。これは便利ですね。
FINAL FANTASY for Smartphone | SQUARE ENIX
ちなみに、iOSの人に関しては、スマホの言語設定を切り替えれば日本語と英語の両方が遊べるようです(Androidは分かりません)。既にアプリを買っている人は、今すぐ英語でできますよ。
なお、僕は英語版をDSソフトでプレイしたので、アプリの操作性や不具合などは分かりません。悪しからず。
「家で、大きい画面でゲームがしたいんじゃ!」という人には、FFをSteamでやるというのも良さそうです。今のところWindowsパソコンを持っている人限定ですが。ただ、先ほど述べたように、英語力的なハードルは高くなると思います。
ちなみに、これも僕が実際にやったわけではないので、自己責任でお願いします。時間ができたらそのうちレビューしますね。
この中だと、とっつきやすいのはFF9じゃないですかね。ストーリーだけ追いたい人のために、エンカウント無しなどの機能も用意されているようです。あと、FF9のエンディングは完璧ですからね。英語でも見る価値はあるでしょう。
エンディングと言えば、FF10も捨てがたいです。泣いちゃいますよね。しかも、FF10に関しては英語版の方がエンディングがしっくり来るんですよ。詳しくは言いませんが、まあ見てみてください。なんならYoutubeでも見つかります。ちなみに、FF10-2に関しては何も言うことはありません。
FF13は……色んな意味で上級者向けじゃないでしょうか。バトルやBGMは素晴らしいし、ライトニング先輩はルイ・ヴィトンとコラボしているわけですが、英語と関係ないですからね。「ライトニング先輩の話す英語が聞きたい」とか、そういう特殊なニーズが必要かもしれません。
というわけで、以上、「僕の愛するFF」でした。
いや、仕方ないんですよ。僕は最新のゲームはプレイしてないですし、輸入せずにやれるプラットフォームにFFが揃ってたんですよね。手堅く考えると、FFになってしまうのです。
ちなみに、アクションRPGなので英語が減りますが、それがOKなら『イース』という手もあります。僕の一押しはこれですね。メチャクチャ面白いですよ。
Ys: The Oath in Felghana(Steam)
しかし、便利な時代になったなと思います。僕がコンテンツ学習にハマっていたころは、逆転裁判以外はソフトを輸入するしかなかったんですよね。こうやって、ポチるだけで英語版が手に入って、しかも安いなんて、本当にありがたいです。
ではでは、今回は以上です。ゲームをやりまくってください。