突発性難聴になった経験から考える、交通事故みたいな病気を避ける方法


荘加 大祐(Daisuke Shoka)
aboveとbeyond

ある日の出来事

先生、左耳に水が入ったみたいで、全然とれないんですよ。吸い出してください!
お医者さん
とりあえず、聴力検査しましょうか。
お医者さん
左耳は、低音が聞こえていませんね。どうみても突発性難聴です。本当にありがとうございました。
おまえは何を言っているんだ(ミルコ・クロコップ風)

そんなわけで、僕は突発性難聴になったことがあるんですよね。あんまりシリアスになってもいけないのでネタっぽくしておきましたけど、本当にこんな感じのやりとりでした。

突発性難聴とは

突発性難聴とはその名のとおり、いきなり聴力が下がる病気です。僕の場合、風呂上がりにいきなり左耳の聴力が下がりました。僕はそれを「耳に水が入った」と勘違いしたわけですが。右耳は完全に聞こえていたこともあり、診断されるまで自分の聴力が下がっているという認識はなかったです。

怖いのはここからです。突発性難聴は、発症してからできるだけ早く適切な処置をしないと後遺症が残るリスクが上がると言われています。「できるだけ早く」の部分はソースによってバラつきがあって、一番早いので「48時間以内」、あとは「1週間以内」、一番遅いので「2週間以内」などがあります。とりあえず、信用できそうなソースの「1週間」の例を紹介しておきますね。

ほとんど後遺症がない状態で治るのが6~7割で、そのほかは難聴や耳鳴り、耳閉感、ふらつきなどが後遺症として残ります。ただし、この数字は発症してから1週間以内に治療を開始した場合の数字です。発症後1週間が経過すると、ほとんどの症例では何らかの後遺症が残ってしまいます。

僕は医者じゃないので、病気について述べるのはここまでにしておきます。とにかく、僕は昔、一刻も早く病院に行くことがキーである病気にかかったことがあるってことです。

どうなったか

幸い、僕は「耳から水が抜けない」と思ってから12時間後には病院にいました。その場でステロイドだの利尿剤だの、猛烈な量の薬を処方され、なんとか事なきを得ました。

ただ、間違いなく言えることが1つあります。仕事が忙しかったら、あの程度の症状では絶対に病院には行きませんでした

僕はあのとき、突発性難聴なんて病気は知りませんでした。当然、自分がそんな病気だとは思いもしませんでしたし、発症してから48時間以内に病院に行くべきだということも知りませんでした。本当に、「ねじったティッシュの届かない距離まで水が入った」くらいに考えていたのです。

僕はその日、たまたま暇で、家から自転車で行ける距離に耳鼻科がありました。しかも、いい天気でした。「こんないい天気で暇なのに、耳から水が抜けないってのもなんだかな。病院行くか」くらいのノリで、耳鼻科に行っただけなのです。

つまり、僕はラッキーでした。下手すると左耳を失聴してた可能性もあることを考えると、これって宝くじで一等に当たる以上にラッキーなことですよね。僕はもう宝くじには当たらないんじゃないかな。

ラッキーに頼らないために

で、ここで終わってもただのラッキー自慢で、意味ないじゃないですか。次もラッキーだとは限らないので、ラッキーに頼らない仕組みが必要です。というわけで、突発性難聴に限らず、いきなりヤバめの病気にかかっても、切り抜ける可能性を上げるための方策を考えてみました。これが本題です。

対策①:異常を感じたら病院に行く

まず、「異常を感じたら、一刻も早く病院に行く」というベタな対策が考えられます。餅は餅屋なので、さっさと餅屋に行きましょうという話ですね。

ポイントは「一刻も早く」の部分です。目安としては異常を感じて2日以内くらいじゃないですかね。

言い切りますけど、仕事より病院を優先しましょう

まあ、自分の会社員時代のことを思い返すと、これが簡単でないことは痛いほど分かるんですけどね。僕自身、ぶっ壊れそうなくらい働いた経験がありますし、ぶっ壊れてしまった人も何人も見ました。

でも、健康をリスクに晒してまでする仕事なんてないんですよね。そりゃあ、健康を優先することで評価が下がったりクビになったりすることもあるかもしれませんけど、せいぜいその程度ですから。耳が聞こえなくなるとか、うつ病になるとか、そういうリスクとは全く釣り合いがとれません。

責任感が強くてマジメな人は、ここの優先順位を間違えがちですけど、間違えないようにしたいですよね。「なんか身体や精神がおかしい」と思ったら、その時点で仕事なんて全部キャンセルして病院に行くべきだし、周りにそういう人がいたら縄を引っ掛けてでも病院につれていくべきだと思います。

ただ、残念ながらこの対策だけではおそらく不十分です。

この対策が機能するのは「自分が病院に行くほどの異常を抱えている」と分かったときだけです。逆に言うと、自分で「大したことない」と思ってしまったら、病院には行かないわけですよ。

じゃあ、どれくらいが「大したこと」なんだって話なんですけど、僕の場合だと、突発性難聴の初期症状はホントに大したことなかったです。本気で「耳から水が抜けない」と思ってましたからね。あれが仕事をキャンセルして病院にいくほどヤバい症状だと思う人はいないんじゃないかな。

かといって、「どんな些細なことでも、異常を感じたら病院に行く」という対策は実現性がないですよね。そんなことしてたら生活できないし、病院の方もたまったもんじゃないです。

対策②:大したことないように見えて、実は深刻な症状を覚える

ということで、もう一歩踏み込んでみましょう。「早期の対処が必要な病気と、その症状を把握する」という対策が考えられます。その症状が出たら、病院へゴーです。

この対策は症状を覚えておくのが大変かもしれないですけど、何もやらないよりマシですよね。

それで、じゃあ「早期の対処が必要な病気と、その症状」って何だって話になるわけです。

すいません、分かりませんでした

いや、どっかの医療サイトがまとめてくれてるかなと思ったんですけどね。検索が下手なのか、そもそもそんな情報はないのか、とにかく見つかりませんでした。この情報をまとめようと思うと部門横断的な知識が必要ですし、ちょっと大変なのかもしれません。今度、友達の医者にインタビューしてみます。終わり次第追記しますね。

個人的には、厚生労働省が「大したことないように見えて、実は危険な初期症状」のリストをまとめて、年に一回の法定健診で周知徹底したらいいと思うんですけどね。まあ、何をリストに載せるかの線引きが難しそうではあるのですが。

というわけで、今のところ僕から言えるのは耳だけはシャレにならないということだけです。なんか耳に違和感を感じたら、その場ですべての予定をキャンセルして病院に駆け込んでください。

間違っても、「もうちょっと様子見るか」なんて考えたらダメです。耳が聞こえなくなるリスクを考えれば、勘違いでも耳鼻科にダッシュして「気のせいです。クソして寝なさい」と言われる方がよっぽどマシです。

むしろ、「気のせいです」って言われた場合は、「自分は正しい行動をした」って、自分を褒めてあげてください。実際、それってすごく正しい行動だと思います。

対策③:病院の近くに住む

対策①と②は、いかにして「病院に行こう」という決意を高めるかの話でした。でも、どれだけ病院に行こうと思ったところで、病院に行きにくかったら病院に行く可能性は下がりますよね。

ということで、病院に行きやすい状態にしておくという解決策が考えられます。具体的には、病院の近くに住むということですね。

実際、僕があのとき耳鼻科に行こうと思った大きな理由の1つに、家から自転車で5分のところに耳鼻科があったということがあります。これが電車で1駅とかだったりすると、行かなかったかもしれません。近さって大事だと思います。

そういう意味で、眼科、歯科、耳鼻科あたりが近くにあるかどうかは、引っ越しの際のチェックポイントにするべきかもしれないですね。総合病院だと、どうしても軽い症状だと行きにくいですし。

なお、東京の場合はどの駅にも病院があるのであまり気にしなくてもいいかもしれないです。僕もここまで考えたことないですし。地方の人は検討するべきポイントかもしれないですね。

対策④:病院に慣れておく

同じ「病院に行きやすい状態にしておく」という線でいうと、病院に慣れておくという対策もありそうです。

またラッキー自慢で恐縮なんですけど、僕は耳鼻科に抵抗がないどころか、ある種の親近感があったんですよね。子供のころアレルギー性鼻炎で、毎週のように耳鼻科に通ってたんですよ(東京に出てきたらなぜか治りました)。鼻の洗浄機(片方の鼻に突っ込んで水を出すと、もう片方の鼻から水が出てくるマシン)、大好きでした笑。

そのせいで、耳鼻科には耳の奥に突っ込んで耳垢を吸い込むストロー状の機械があるのを知ってたんですよ。「どうせ暇だし、あの機械でガツンと水を吸い出してもらおう」というのが僕が耳鼻科に行った理由でした。

これはちょっと特殊なケースだとしても、病院に対する敷居を自分の中で下げておくというのは大事かなと思います。

ただ、どうしたらこれができるかっていうと、ちょっと分からないです。用もないのに病院に行くわけにもいかないですからね。かかりつけのお医者さんに、定期検診してもらうことくらいでしょうか。何かいいアイデアがないか、考えてみます。

ではでは、とりあえずこの辺で。健康第一!